250字で花言葉
穏 や か な 生 活 (初雪草)
清音 2014/8/31
うたた寝から目覚めたら誰もいなかった。
にぎやかだった一号室のリビングは静まり返り、起こさないようにと気遣われた結果だろうか、机にはメモの切れ端が一枚。
「隣にいます」
二号室へ続く扉に手をかけ、礼を言おうとしてその二号室にも人の姿がないことに気づいた。テーブルの上には「三号室」とだけ書かれたメモ。
「あ、先輩起きましたー?」
残されていたカップの片方に紅茶が注がれ、差し出されたそれを清音はためらいなく受け取る。
「ありがとう」
当たり前のように用意されていたカップから、じんわり伝わるぬくもりが心地よかった。
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もうひとつのカップは丈さんのために。
誰かのそばに自分の居場所があるというのは、とてもすごいことだと思います。
血がつながっていなくてもつながりは確かにあって、そんな家族のような関係が好きです。
一号室から二号室へ、そして三号室へと移るたびに人数を増やしていくガッチャマンの皆が、
(この場合は)清音と、そして最終的に丈さんを待っていてくれたら私が嬉しいです。
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健 康 (ブルーベリー)
清音&はじめ 2014/9/4
雨は嫌いじゃなくても続けば憂鬱になる。あいにくの空模様に、今日の鍛錬も室内かと清音はため息をついた。だから「濡れちゃダメなんて決まりがあるんすか?」とはじめが聞いてきたのには本当に驚いた。
「……ない」
「ならいいじゃないっすか、雨降ってても!」
「……そうだな」
考えてみれば道着や袴は洗えるし、刀も手入れさえ怠らなければ少々の雨で錆びつくことはないはずだ。
なんだ、雨でもいいじゃないか。そんな今さらなことにようやく気づけたのが嬉しくて、清音は降りしきる雨の中で思う存分刀を振るう。
――そして風邪をひいた。
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清音がはじめちゃんに影響されていくところはこんな感じかなって。
刀の手入れに夢中になっていたら自分が濡れていることを忘れてて風邪をひきました。
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君 を 忘 れ ず (シオン)
丈 2014/9/9
すべてを終え、丈は手に馴染んだNOTEを取りだし――気づいた。
ガッチャマンの心の結晶であり、どんな仕組みになっているかは知らないが、文字でも声でもたちどころにその内容をメンバーに伝えてしまう摩訶不思議なNOTE。
といって、そのメッセージを紙面上に留まらせることも可能だとはあまり知られていない。
死ぬつもりはなかった。そもそも別れの言葉を残すことだって柄じゃないと思っていたのに。戦いの合間だろうか、最後のページには本人すら知らぬ間に記されていた言葉が並ぶ。
ほんの一撫でしただけで、文字は跡形もなく消えてしまった。
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清音くんの「俺たちだけじゃ……」の辺りとか形勢が逆転するまで、、
丈さんが戻ってきてからも危ない状況はいくらでもあったんじゃないかなーと。
死にたいと思いながら行動に移すこともできず、でもいつでも戦いの中で死ぬ覚悟はあって。
それでいて誰にも言わない(言えない?)ところ。丈さんのそういうとこ、好きです。妄想大爆発。
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感 謝 (ダリア)
うつつ 2014/9/10
物心ついたときにはすでに力をコントロールできていた。不意をつかれて力を使ってしまうことはないけれど、万が一ということだってある。
人と触れ合うことのないように。なるべく関わらないですむようにとそれだけを心に定めて生きてきた。潔癖症と勘違いしてもらうため、薄い手袋をはめていた時期もある。
そんな風に過ごす毎日だったから、握られた左手に伝わる命の熱さには驚いた。
「助けたい」
必死に訴え、その結果として受け取った「ありがとう」。
その言葉を返したい人がいる。
ためらうことなくこの右手を取ってくれて、ありがとう。
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トンネル事故のシーンが一番好きです。
丈さんの思惑がどうあったかについては前に別の話で書いたけど、それはそれとして置いといて、
受け入れられたことはそのままうつつちゃんに力を与えたんじゃないかと思います。
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楽 し い 思 い 出 (藪山査子)
清音 2014/12/12
清音と丈の前にはうず高く積まれた段ボール箱と、丈の背すら越す大きなモミの木。箱の中身はすべてクリスマス用のオーナメントらしい。
料理だケーキだと盛り上がる女性陣から飾り付けを仰せつかったのが、キッチンから追い出された男二人というわけだ。やれやれと肩をすくめ、箱に手をかける。
「うつつ、ちょっと」
「……なに」
あらかた出来上がったツリーには、完成までにひとつ足りないものがある。清音はツリーのてっぺんを指差した。
星の飾りを受け取ったうつつの髪が、本人の気持ちを現すようにぴょこりと揺れる。
「……ありがとう」
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一年越しのクリスマスネタです。