250字で花言葉



我 が 祖 国 を 愛 す る (金蓮花)
幸村:戦国 2011/9/6


 幾つになっても離れがたく。
 離れたとしても何かにつけて思い出す。
 そんな故郷が誰にでもあるはずだと信じていた幼心を、見事に否定してくれたのがこの男だった。
「忍にそんなのあるわけないでしょ」
「何っ、ないのか、佐助もか」
「主が変われば東へ西へってのが俺らだよ。強いて挙げるなら、里とか?」
「では上田はどうだ。ここは良い所だぞ」
「そうだね、山の作りも悪くない。忍には良い土地だと思うよ」
 お前にとってはどうなのだ。
 そう尋ねたい気持ちを堪え、この執着心のない男がいつか上田を離れがたく思うようになれば良いと願った。

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   幸村というよりは、弁丸の頃の思い出話です。
   佐助のいう「忍」には佐助自身もちゃんと含まれています。
   でも弁丸はまだ小さいから、そのことには気づけていません。
   今よりもずっと幼い佐助の、精一杯の“上田が好きです”アピールでした。



* * *



恋 占 い (マーガレット)
真田主従:戦国 2011/9/7


 何かとてつもなく無駄なことがやりたくなって、道端の花を摘んでみた。
「好き、嫌い、好き、嫌い」
「そのようなものに佐助が興味を持つとはな」
 真面目くさって手元を覗き込むので、もう一輪花を摘んだ。
「旦那は俺様のこと好き、嫌い、好き、嫌い」
「……」
「好き、嫌い、好き、嫌い」
 秋桜の花びらは八枚しかない。
 好きから始めれば、終わりが嫌いになるのは当然だ。
「やだな旦那、俺様のこと実は嫌いだった?ざーんねん」
「信じてもいないのに、落ち込んで見せるな」

 残ったのは花びらのない茎。
 本当に無駄なことをしてしまったと思った。

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   マーガレットなのに、登場花はコスモス。
   花言葉だけ借りてる状態なのでいいよね。って、前にも似たようなこと書いたな。
   普段CPはまったく意識してなくて、主従として書いています。
   でも今回、私にしてはちょっとラブっぽく書けたと思うんだけど、どうでしょうか。



* * *



心 を 開 く (鳳仙花)
幸村:戦国 2011/9/8


 その忍が真田隊に配属されて数日もたたないうちに、命を狙われた。
 夜と朝とが混ざる頃。たまたま不寝番を務めていたその忍が蒲団の上から覆いかぶさり、事なきを得た。
 己の命を贖った対価がその忍の背についた傷と毒による苦しみだということが幼心にもよく理解できたので、その忍を側仕えにすると決めた。
「命を賭して信を得ようとする間者もおります」
 新参者を簡単に登用すべきではないと、当の本人に諌められた。
「お主を信じておる」
 似たような問答を幾度も繰返し、その忍が笑顔を見せるようになるには、およそ一年の時を必要とした。

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   佐助の心を開く幸村。
   最初は「佐助になかなか心を開かない幸村が、命がけで助けられて心を開く」
   という風に書くつもりが、気づいたら幸村の心は最初から開かれていました。
   佐助の方が頑なだったよ!一年もかかるって!



* * *



追 憶 &君 を 忘 れ ず (浦菊&シオン)
佐助:現代転生 2011/9/9


 この春佐助は大学を卒業する。
 大学に残っていずれは研究職に。との誘いもあったが断った。
 大学で専攻していた植物病理学の知識を高く買ってくれたらしい、造園業者への就職も決まっている。
 卒研を提出し、卒業式を待たずにこの町へ引っ越してきて以来、約束の桜の元へ毎日通っていた。
 大樹ながら地元民しか知らない桜だ。他に客がいないのをいいことに、根元に座って花びらが散る様を眺める。

 約束の相手が生まれているかはわからない。
 記憶を持っているかもわからない。
 それでもこの桜のそばで待つと決めている。
「だから、早くおいでよ」

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   久しぶり花言葉をふたつくっつけました。
   これは以前書いた「みやこ草」と同じ設定です。わかるかなぁ。
   いずれはちゃんとお話として書きたい設定です。
   そのためには、桜のことをちゃんと勉強しないとね!



* * *



自 然 を 愛 す (秋海棠)
幸村:現代転生 2011/9/10


 蓬は食用だけでなく薬草としても有名な植物だが、その葉はトリカブトと似ているため注意が必要である。
「毛に違いがあるんだよ」
 同じ形をした二種類の葉を前に誰かが笑った。
「蓬は傷の手当に使える。間違えずにちゃんと覚えてよね?」
 蓬だけでなく、その他オナモミやハコベ等の雑草にも薬効があることを、幸村は幼い頃からなんとなく知っていたように思う。
 それがいつのことだったかまでは覚えていない。そして両親も薬草の知識を幸村に教えた事はないという。

 けれど思い出せないくらいずっと昔。
 教えてくれた誰かがいたに違いなかった。

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   生まれ変わって記憶もなくて、全部真っ白になったはずのどこかに残るもの。
   劇的なシーンの方が残りやすいのかもしれません。
   でもこういった、幼いころの何気ない記憶が片隅にあったらいいな。




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