250字で花言葉



勝 利 (パキラ)
ユキと夏樹 2012/10/28


「誰かさんのせいで寒いなー」
 ユキは丸裸な自分の左手に息を吹きかけた。冗談めかした言葉は寒さを紛らわせようとしただけで、特に深い意味はない。
「霜焼けできたら嫌だなー」
「あーもう」
 夏樹は気まずそうに頬をかき、同じく丸裸の右手で乱暴にユキの左手を掴んだ。
「これでいいだろ!」
「夏樹、ここ外!」
 ユキは慌てた。今は二人きりの弁天橋も、いつ人が通るかわからない。
 けれどつないだ手が離れることはなく、ユキは赤く染まった顔を見られないよう下を向いた。そっとうかがった夏樹の顔も赤い。
「寒いっつったのはユキだからな!」

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   手袋を忘れてしまった夏樹に、ユキが片方貸してあげました。
   こうなるといいな、と密かに期待していたことが現実になって、
   あわあわするユキもかわいいな〜と思います。



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導 か れ る ま ま に (西洋リンゴ)
ユキと夏樹 2012/10/29


 緊張を緩和させようと、ユキは大きく息を吐いた。手はじんわりと汗ばんでいる。
「俺、明日は風邪ひく予定だから!」
「お、おう?お大事に、な・・・?」
 案の定、夏樹は不思議そうに首をかしげた。
 それはそうだろう。確実に風邪をひくと、あらかじめ知っている人間は普通いない。
 でもユキは違う。ユキは明日、必ず風邪をひいて学校を休む。
「夏樹は?体調なんともない?」
「俺は元気だけど・・・。今日は釣りやめとくか?」
 返ってきた気遣いはとてもありがたいけど、今のユキが欲しい言葉ではなかった。


 ああもうじれったい。早く気づけよ!

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   学校をサボり慣れていないユキの、精一杯のエスケープの誘い。
   夏樹、早く気づいてあげて!



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満 足 (ローズ)
夏樹とユキ 2012/11/27


 学校の自販機で、夏樹はいつもお汁粉のボタンを押す。ユキはその二つ隣のお茶を選ぶことにしている。
「ん」
 ユキは夏樹から差し出されるお汁粉を一口もらい、代わりに自分のお茶を夏樹に渡す。
 そのやりとりを繰り返して、お汁粉とお茶を二人でだいたい半分ずつ飲み干す。
「せっかく買うのに、なんで俺にくれるの?お汁粉、好きなんだろ?」
「ユキと一緒に飲むのがちょうどいーんだよ」
「ちょうどいい?」
「冬は寒くてお汁粉が飲みたくなるけど、ユキと一緒なら口直しのお茶もあるし」
 缶を捨てながら、夏樹は「二人っていいよな」と笑った。

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   おしることプリンシェイクで盛り上がったので。



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博 愛 (ポインセチア)
夏樹 22012/11/29


 高校生の懐事情は厳しい。そう好きに外食ができるはずもない。
 夏樹を動かしたのは「いつか食べたい」と、食堂のディスプレイを見てユキが洩らした一言だった。

「すごいかき揚げだ!お兄ちゃん作ったの?」
 かき揚げは手間がかかる分、宇佐美家でもめったに食卓にのぼらない一品だ。
 揚げてから時間がたったせいで少々しんなりしてしまったが、さくらはそれでもおいしそうにかき揚げを頬張った。
「うまいか?」
「うん!」

 今頃はユキも同じものを食べているだろうか。そう思うと、今まで苦いとしか感じなかったしらすの味も気にならなかった。

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   同じ物を食べるってすごく好きなんです。



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私 の 愛 は 増 す ば か り (南天)
ユキ 2012/12/31


 休む間もないあまりの忙しさに、ユキは目を回しそうになっていた。
「これとこれと、そっちにあるお札もお願いしまーす」
「は、はいっ」
「あのー、これ青色はないんですか?」
「しょ、少々お待ちくださいっ!」
(あれ、これって・・・)
 ひっきりなしに訪れる参拝客を前に、ふと手にしたお守りがいくらだったかわからなくなる。
 焦るユキに、「それ350円な!」と隣のブースから夏樹の声が届く。同じ人だかりを前にしても、夏樹は落ち着いたものだ。

(夏樹、カッコいいな・・・)
 寸の間だけ夏樹に見惚れ、ユキはお守りを袋に詰める作業に戻った。

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   しらす亭が年末年始どうなっているのかはわかりませんが、
   宇佐美家は総出で神社のお手伝いをしているかもしれません。
   ユキもどうだ?と誘われて、夏樹と一緒にお守りを売ったらいいよ!



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