250字で花言葉
不 在 の 友 を 思 う (百日草)
夏樹 2012/7/26
「バイト中、お腹すいたら食べて!」
ユキの手伝いをしたのがよほど楽しかったのだろう。夏樹の手には、上機嫌なハルから手渡された拳大のおむすびがひとつ。
休憩中にその差し入れを一口食べたところで夏樹は悩んだ。
「やべえな、どうするよ俺」
友の好意はありがたいのだが、そのおむすびは非常に固かった。きっとこれでもかというほど、心を込めて握ってくれたに違いない。
そして、これでもかというほど塩を振ってしまったに違いなかった。
「お茶漬けにしたらどう?」
夏樹の思案は果てしなく。海咲姉からの救いがもたらされるまで続いた。
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自分で握ったおむすびが、もう本当にしょっぱくてですね…。
塩加減難しいです。
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喜 び あ ふ れ (風鈴つつじ)
ユキとハル 2012/7/28
その日は目が覚めた瞬間から世界が明るかった。そこら中から光が出ているような、そんな気さえした。
「ハル、行くぞ!」
「待ってよユキー」
朝釣りに行こうと声をかけるのはいつもハルの役目。今日はその逆で、ハルを急かして家を出る。
「ユキ、何かいいことあった?」
「別に?」
「あったでしょ?ユキすごく楽しそう」
そういうハルも何だか楽しそうで、水溜りに足をわざと踏み込ませては水を跳ねさせている。
そして気づいた。明るいのは、雨の雫が朝日に照らされて輝くからだと。
「お日様キラキラ釣り日和、ユキが嬉しいとぼくも嬉しい!」
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雨が続いてようやく晴れた日の朝。
ようやく釣りができる!とウキウキしてるのに、自分では気づいていないユキ。
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家 族 愛 (サルビア)
夏樹 2012/8/6
(オヤジもさくらも真理子さんも、きっと悲しんでくれるのはわかってるよ)
父親には連れ合いを。さくらには母親を。
なかなか認めることができなかった、新しい家族の形。
(大丈夫だよな、オヤジ。…俺がいなくても)
「俺も帰らない」
そこに自分が入りたいと願うことは一度もなかったけど、彼らの幸せを祈る気持ちが反発心や疎外感から生まれたものではなかったのが、今はこんなにも嬉しい。
「俺、釣れずに帰るの大っ嫌いだからさ!」
夏樹の家族はもういない。
必ず戻ると約束したけれど、心残りは一つもなかった。
(どうか、どうか幸せに)
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決して後ろ向きな気持ちではなくて、純粋に一つの家族の幸せを願う夏樹。
ああでもすごく難しい…。
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お ろ か し さ (石榴)
夏樹とアキラ 2012/8/7
「子どもだな」
アキラに非難の気配はなかったので、素直に頷いた。そうだ、俺は子どもだ。
するとまた新たな疑問が浮かんでくる。
なぜ未熟な子どもに将来を決めるように促し、判断をゆだねるのか。なぜ実力もないのに望むことを許すのか。続けていれば必ず結果が伴うとでも大人は言いたいのだろうか。
「ほんの数年先に生まれただけだろ」
そのすべてが分からないのは、きっと俺が子どもだからだ、と歩きながら夏樹は思った。
余裕綽々の顔を見上げれば「俺を敬え」と言葉が降ってくる。
今は同級生だけどな。小さく付け加えてアキラは笑った。
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バスプロを目指したい気持ちはあるけど、尻込みする気持ちは絶対あるよなぁ。
普段はきっとお兄ちゃんぶってるけど、アキラの前では歳相応の夏樹。
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小 さ な 愛 (クレオメ)
ケイト 2012/8/8
花瓶を探してたどり着いた押入れに、ひっそりとその箱はあった。
「懐かしいわね」
こまめに物を整理する生活で、これだけはと処分せずに持ち歩く箱だ。
一番上には、誕生日にユキが初めてプレゼントしてくれたハンカチ。
その下には、ユキがお揃いを恥ずかしがってつけなくなったエプロン。
さらにその下には…と、取り出せばきりがない。
「今度はハルと一緒でもいいかしら」
ユキはまた照れてしまうかもしれないが、ハルならきっと喜んでくれる。
「楽しみだわ」
3人で色違いのエプロンをつけて台所に立つ日が待ち遠しくて、そっと箱をしまった。
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ユキがエプロンをつけない理由:照れくさい だったらいいなと思います。
反抗期のなかったユキだけど、ちょっと照れくさい気持ちは育ってて。
わかっていてお揃いを買ってきたケイトばあちゃん。