250字で花言葉



心 が 通 じ る (ススキ)
ユキとケイト 2012/9/12


 ハルが星に帰り、残された空っぽの金魚鉢。
 ユキは仲見世通りの土産物店で、星の砂が入った小瓶をあるだけ買い占めた。ハルが「僕の星の砂に形が似てる」と話していた、星の砂の小瓶。
 買ってきた瓶の中身をすべて金魚鉢に入れると、満たされた鉢の代わりに小瓶は空になってしまった。空という事実に戸惑いながら、ユキは小瓶を全て捨てた。


 しかし翌日、捨てたはずの小瓶は一つ残らず食卓の上にあった。しかも金平糖というおまけ付きで。
「ばあちゃん、どうしたのこれ」
 彼女は愛おしそうに小瓶を手にして微笑んだ。
「これもお星様でしょう」

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   星の砂って実際は砂じゃないんですよね…。でも良いのです。
   “星”ってところが大事なんですよね!



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優 し く 癒 す (釣舟草)
アキラ 2012/9/19


 DUCKにおける名は、個人を識別するための記号に過ぎない。
 アガルカールはインドという自分の出自を忘れないため。
 山田とアキラは日本人によくある名だから選んだ。単純にそれだけだった。

「アキラ、気をつけてな!」
「また来いよ、アキラ!」
 次の地へと赴く日、この島で得た友が最後まで手を振ってくれた。
「ああ、またな!」
 繰り返し呼ばれる名と呼ぶ人々を、悪くないと思い始めたのはいつだっただろう。
 アキラに名をくれた島、江の島。
 腕に抱いた彼女が「ガア」と鳴いた。
「その通りだな、タピオカ」

 まったく、ここは本当に悪くなかったよ。

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   アキラ・アガルカール・山田 がコードネームでどれも本当の名じゃなかったら。
   ということを考えていたら思いつきました。



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陶 酔 (金木犀)
四季 2012/10/1


 教室の片隅から漂う不穏な空気に、すでにクラスの数人が気づいていた。
「手伝っただけなのに…ユキが怒った!」
「夏樹はどう思う?俺はハルが悪いと思う!」
「僕は悪くない!」
「うーん、俺もハルが悪いと思う、かな」
「ほーらみろハル」
 必死の訴えを余所に夏樹はユキの肩を持ち、ハルはますますむくれた。
「なんで夏樹までそんなこと言う?僕、絶対に悪くない!」
 我慢できずに声を荒げたハルがクラス中の視線を集めたそのとき、アキラが席を立った。
「お前達、ハルを責めるのは筋違いだ」
「アキラ…」
「カレー鍋を洗えばスポンジが黄色くなるのは当然だ。そのスポンジが卸したてだからといってなんだ。むしろスポンジこそ、最初に洗えたのがカレー鍋でさぞ幸せなことだろう」
 アキラがもっともらしく講釈を垂れたその瞬間、クラスは4人への興味を失った。
 その後4人は夏樹ユキ組vsハルアキラ組に分かれて低レベルな戦いを始めたが、注目する者はもう誰もいなかった。

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   花言葉はこじつけのようになってしまったけど、
   アキラのカレーに対する盲目的な愛だとでもお考えください。

   それにしても、降ろしたばっかりのスポンジでカレー鍋洗ってしまって
   「あああああ…」ってなるの私だけでしょうかね。
   夏樹とユキは「あああああ…」ってなる派ですよきっと。



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成 し 遂 げ ら れ る 思 い (唐麦)
えり香と夏樹 2012/10/10


 家族同然の付き合いではあるが、部屋に入る前に一応「お邪魔します」と声をかけるのはえり香なりの気遣いだ。
「ねえ夏樹」
「なんだよ」
 ちょうど出かけようとしていたらしい夏樹の目の前に、手持ちの小道具を全て詰めた鞄を突き出す。
「可愛くしてよ」
「・・・」
 夏樹は手にしていた釣竿を降ろし、椅子を指差して座るよう促した。
「希望は?」
「どんなのでもいい。とびきり可愛くして」
「りょーかい」
 ヘアアイロンをコンセントに繋ぎ、櫛を手にした夏樹が後ろに回る。髪を梳く静かな音に混じって「頑張れよ」と声がした。
「…うん、頑張る」

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   さくらの髪をずっと結んできた夏樹の腕はなかなかのものですよ、きっと。
   えり香もここぞという日は夏樹にやってもらうとかだといいなぁ。



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集 う 喜 び (マトリカリア)
夏樹とハル 2012/10/21


 激しい雷に夏樹が目を覚ますと、すでにハルが窓に張り付いていた。
 何となく夏樹も起きだして、ハルの隣に並ぶ。鋭い光と音がして、これは近くに落ちたなと思った。
 雷が止む気配はなく、ハルは一人眠り続けるユキを振り返り控えめに呼んだ。
「ねえユキ、雷がきれいだよー」
「…ぜんっぜん起きねえのな」
 ハルはユキの頬をつつき、髪を引っ張った。寝かせといてやれとハルを静止しかけ、夏樹はユキの眠りの深さに感心した。すると今度は、どこまでなら大丈夫なのかという純粋な疑問が浮かんでくる。
「ハル、脇くすぐってみろ」
「オッケー!」
 ハルが勢い良く布団をめくり、ユキの脇腹をくすぐった。ユキのまぶたがピクリと動いたが、ユキはそれでも起きなかった。
「ユキ、起きないね?」
 くすぐる手は止めず、ハルが小首をかしげた。
「いーや」
 いつまでたっても起きないユキに、夏樹は逆に確信を持った。ユキの目は覚めている。
「ハル、飛びかかれ!」
「オッケー!」

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   ユキの眠りは深そうです。
   ハルに飛びかかられてユキは「こんな夜中に何してんの二人とも!」って怒るけど、
   その後は三人でベランダに並んで稲妻を見ているといいなと思います。



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