250字で花言葉
独 立 (梅)
ユキとアキラ 2012/10/24
「アキラ、ひとついい?」
煙をくゆらせたアキラが、ユキの目にはいつになく大人として映った。だから聞いてみたくなったのかもしれない。
「なんだ?」
「どこへ行くのも自由なのって、どんな気分か知ってる?」
「そうだな、それはとても自由な気分だろうよ」
はぐらかすようなアキラに、ユキは「それじゃわからない」と言いかけて口をつぐんだ。それがアキラなりの答えなのだろう。
いずれはユキも、全てから解き放たれて自由になる。
そして自由と引き換えに、帰る場所もない。
「自由か・・・」
ぽつりとこぼれた言葉は、白い煙と共に消えた。
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どこへ行くのも自由ということは、素敵なようでそうでもないと思います。
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強 い 精 神 力 (フェンネル)
ハルとユキと夏樹 2012/10/25
「よし、食べていいぞ」
夏樹からのお許しが出て、たっぷり黄粉をまぶされたできたての団子にハルとユキは目を輝かせた。
「ハル、熱いからな」
「うん、だいじょーぶ!」
気をつけろと注意され、ハルは団子に勢いよく息を吹きかける。
「ハルっ!?」
「おまっ…!」
「熱かったらフーフーして冷ますって、ユキが教えてくれた!」
ハルの言葉に、ユキは何も言えずに押し黙る。そう、熱いスープを飲んで火傷したハルに「冷ましてから飲め」と教えたのは確かにユキ自身だ。
ただこの惨状をいったい誰が予想しただろう。熱いからといって、まさか黄粉をまぶした団子に息を吹きかけるとは思うまい。
あらかた黄粉の飛んだ団子をおいしそうに頬張るハルとは対照的に、頭から黄粉を被るはめになった夏樹とユキのテンションは下降路線まっしぐらだ。団子にありつく前に、この黄粉まみれの台所を片付けなくてはいけないのだから。
二人が頭を振ると、パラパラと黄粉が零れ落ちた。
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お月見のときにハルはもう星に帰ってしまっていないけど、
もしいたらこんな出来事もあったんじゃないかなって思います。
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健 や か な 成 長 (グリーンネックレス)
ちび球:ユキと夏樹 2012/10/27
「ねえなっちゃん、見てるだけで寒いよー」
道行く人の誰もが白い息を吐く中、夏樹はいまだ半袖半ズボンで過ごしている。『丈夫な体を作りましょう』という幼稚園の方針だ。
「ユキも薄着じゃないと海の男になれないぞ」
「だって寒いもん・・・」
とはいえ夏樹も寒いものは寒いらしく、今日の冷え込みにくしゃみを堪えきれないでいる。
「ほらぁ」
首を撫でる風に思わず体を震わせながら、ユキは自分のマフラーを夏樹に巻いた。
「ユキ大丈夫か?マフラーごめんな?」
心配そうに顔をのぞきこむ夏樹が、風邪をひかないでくれればそれで良かった。
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いますよね、真冬でも半そで半ズボンの子!
小さい頃の夏樹はちょっとした無茶も平気でやりますよ!
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い つ も 愛 ら し い (ロベリア)
宇佐美家 2012/10/30
「えり香ちゃん、ナイスバディでうらやましい」
夏樹が帰国するとあちこちから人が集まって焼肉パーティーが始まる。その席でぽつりとさくらがこぼした。
視線の先にはビールを片手に肉を頬張るえり香の姿がある。
「大丈夫よさくらちゃん、お肉食べなさい、お肉!」
「ほんと?お肉食べたらえり香ちゃんみたいになれる?」
「もちろん!」
会が始まる前から飲んでいたえり香はすでに出来上がっている。無責任に煽られたさくらは目を輝かせた。
「じゃあさくら、肉食系女子になる!」
その言葉に夏樹はビールを吹き出した。意味を取り違えているだろうことはわかっているが、それでも制止せずにはいられない。
「さくらには肉食系なんて似合わないぞ!」
「そうだよさくらちゃんは今のままがいいんだよ!」
「ユキ・・・?」
焦るユキの様子から何となく察するものはあるが、ここはひとつ兄として釘をさしておかなくてはいけないだろう。
「おいユキ、なんでお前が焦んだよ」
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ほんのりユキさく。
えり香はスタイル抜群だし、数年後ならユキはさらに背が伸びてるかもしれないし。
私も早く大人になりたい!って思うさくらちゃん。お兄ちゃんは複雑です。
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幸 福 感 (オブコニカ)
四季 2012/11/3
「その制服は夏樹の仲間か!この柿泥棒!」
「・・・は?」
通りがかったアキラを怒り声で呼び止めたのは、庭に大きな柿の木を持つ家の主だった。
いわれのない疑いにアキラは驚いた。しかし夏樹という名も知らない名ではない。訂正するのも面倒で、アキラは黙って家主の怒りを受け止めた。
神妙な顔つきの3人は角を曲がった先で待っていた。
「ごめんアキラ」
「悪かったな」
「ごめんごめーん?」
三者三様の謝りと共に、柿の実が差し出された。
濡れ衣を着せられた上、代わりに謝ってきたのだ。少々の嫌味くらい許されるだろうか。
「お前らな・・・」
「小言は後で聞くから、とりあえず食ってみろよ」
「一番おいしそうなの残しといたんだから」
やれやれと、アキラは柿を口元へ運んだ。思うことは色々とあったけれど、初めて食べる赤い実は想像していたよりずっと甘かった。
このよく熟れた柿に免じて帳消しにしてやろう。アキラは自分にしては珍しく、甘いことを考えた。
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アキラ誕生日オメデトウ!
あんまり祝ってる感じはしませんが(笑)
夏樹おススメの柿の木で家主に無断で柿狩りをしていたら、通りがかった
タピオカにハルが驚いて、家のおじさんに見つかっちゃった!というお話です。