250字で花言葉



喜 び (シネラリア)
ユキとケイト 2012/12/2


 ハルがウララを連れて地球に戻ってきた。ココも二人の様子を見にちょくちょく姿を見せる。ごくたまに、アメリカから帰国した夏樹とアキラの来訪が重なることもある。
「ねえユキ」
 何やら考えていたケイトが、キッチンからユキを呼んだ。
「なあにばあちゃん」
「もっと大きな炊飯器を買いに行きましょうか」
「うん、それがいいかもね」
 ユキはその小さな炊飯器で一度に2合も炊けば充分だった頃を思い出す。
 二人きりの日々も確かに幸せな時間ではあったけれど、増えていく椅子と皿の数、そしてそのにぎやかさを、ユキは何よりも愛しく思った。

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   真田邸に集う人数が増えていくのは、
   ユキにとってもケイトさんにとっても嬉しいことだったらいいなと思います。
   皆でわいわいとご飯を食べるって、幸せですよね!



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い じ め な い で (ゴボウ)
夏樹 2012/12/19


「ほらさつき、おもちゃだぞー」
「いやー!」
 さつきはユキの後ろからこわごわと夏樹を見上げた。
 悩みに悩んだお土産も、さつきのご機嫌をとってはくれない。
「夏樹にいちゃんと遊ぼう?」
「いやー!」
 さつきは夏樹の手を振り払うと、ユキの足にすがり付いて泣き出してしまった。
 まだ幼いさつきがめったに会えない夏樹を覚えていなくても、それは仕方のないことだと夏樹だって理解している。いるけれど。

 夏樹は恨みがましくユキをにらんだ。
 情けない発言だとわかっていながら、それでも叫ばずにはいられなかった。
「ユキばっかずるいぞ!」

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   さつきちゃんの言動に一喜一憂する夏樹おにいちゃん。
   ユキにばかり懐いているのが気に入らないけど、仕方ないよねお兄ちゃん!



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け な げ な 姿 (寒菊)
ユキ 2012/12/23


 ユキはずっと自分の赤い髪が嫌いだった。
 けれどユキの努力を笑うかのように、ユキの髪はいつも一晩で赤に戻ってしまう。
「俺は皆と一緒にはなれないの?」
 今にして思えば、ユキが祖母の前で涙を流したのはこのときが最後だった。ケイトはユキの髪に触れ、そっと櫛を通す。
「ねえユキ、赤い色にはちゃんと意味があるのよ」
「意味?」
「そう。いつかきっと、きっとわかるわ」
 彼女の言葉を心から信じたわけではない。それでもユキは髪を染めるのをやめた。


 それから数年後、ユキの赤い髪をハルが見つけた。
「ねえユキ、僕と友達になろうよ!」

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   染めても染めても染まらない(かもしれない)ユキの髪を考えてました。
   フランスというルーツ以外に意味があるとしたらどんな意味だろうと思いまして。



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幸 福 が 飛 ん で く る (ファレノプシス)
アキラとえり香 2012/12/30


 なかなか進まない車の列に、アキラは駅の構内で待つえり香に「そこで待ってて」と合図を送る。
 ところが何を勘違いしたか、えり香は柵に手をかけるとあろうことかそのまま足を上げて乗り越えてしまった。
 アキラは頭を抱えてハンドルに突っ伏すしかない。
「見えたらどうする!」
 ところが助手席に乗り込んだえり香は「大丈夫、これキュロットだから」と悪びれた様子もない。
「それに早く会いたかったし」
 アキラは「これかだから活発な女の子は」と口から出かかっていた言葉をなんとか飲み込むと、真っ赤になってしまったえり香の頭を撫でた。

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   駅までお迎えに来たアキラと、押せ押せだけど照れちゃうえり香ちゃん。
   新幹線に乗りながら考えていました。



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円 満 な 関 係 (ユリオプスデージー)
夏樹 2012/12/31


「どうだ夏樹、釣りにでも行くか?」
「行くかよ」
 夏樹の不機嫌など何も気にしていないらしい父の誘いを、夏樹は即座に断った。

 これまで大好きだった父の背中が、中心となり家族を支えてくれていたはずのその背中が、今は疎ましくてたまらない。
 心が幼くて父を理解しきれていないだけのか。大人になれば父の行動に意味を見出し、全てに納得できる日が来るのか。
 一生懸命考えてみても、その答えが夏樹には見えない。大人に希望なんてない。
 でも一つだけ心に決めていた。
「俺は、アンタみたいにはならねえよ」
 握った拳に痛いほど力を込めた。

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   保と真理子さんのことを知った頃の夏樹はこんな感じじゃなかったのかと思います。
   ある意味、思春期が全開です。



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