250字で花言葉



友 を 求 め る (スノードロップ)
ユキ 2013/1/1


 元日の朝、ユキはもしかしたらという期待を胸に郵便受けをのぞいた。
 自分宛の年賀状を確認し、ユキはポケットに忍ばせた年賀状に手をのばす。それはユキが年末、ポストに入れられなかった年賀状だ。
 ユキから届く年賀状を嫌がられたらどうしようかと、そんな不安がユキに投函する勇気を与えてくれなかった。

 宇佐美夏樹 様

「・・・よし」
 高台にあるユキの家に年賀状が届いたということは、宇佐美家にもすでに年賀状が届けられているだろう。夏樹はユキからの年賀状がないことに気づいているかもしれない。
 ユキはしらす亭へ向けて走り出した。

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   ユキには夏樹とアキラからだけじゃなく、
   さくらにえり香、他にも江の島の人々から届いていると思います。
   今年は手渡しで渡しに行ったけど、来年からはきっと投函できますよね!



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よ き パ ー ト ナ ー (シザンサス)
ハルとケイト 2013/1/11


「ねえケイト、みんな起きないね」
「さっき眠ったばかりだものね」
「でも今日、朝釣りするって言ってたのにー」
 ハルがいくら揺すっても、夜を撤してのカードゲーム大会を終えたばかりのユキ達は誰も眼を覚まさない。

「どうしたらみんな起きてくれる?」
「そうねえ」
 ケイトはいたずらっぽく微笑むと、ハルにフライパンとお玉を手渡した。
「これで起こすの?」
「そう、きっと起きてくれるわ」

 ハルは大きく息を吸い、教えられた通りにお玉を高くかかげた。
「おっきろー!」
 早朝のおだやかな空気を切り裂いて真田邸に大きな大きな音が響いた。

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   お玉とフライパンはユキくんのために考えたネタなんですが、
   今日の花言葉を見たら、もうハルちゃんとケイトさんしか考えられなくて…。



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気 取 ら ぬ 魅 力 (椿)
海咲 2013/2/4


 鬼役の歩がはるか彼方へ逃げて行ったのを見届けて海咲が店に戻ると、カウンターのそばで夏樹とユキがひそひそと肩を寄せていた。
「夏樹、ずっと一緒にいるのになんで知らないんだよ」
「そんなもん知らねえよ。だって海咲ねえは誕生日にもローソクささないのが基本なんだぞ」
「困った・・・」
「まじで困った」
 くすりと笑うと、海咲はそっとその場を離れた。夏樹とユキが何粒の豆を差し出してくるのか、純粋に興味があったからだ。

 おずおずと差し出された豆を海咲は丁寧に数え、そして叫んだ。
「あんたたち、さすがにこれはないでしょー!」

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   女性の年齢はわかりにくいですよね。特に男の子には。



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巧 み さ (葉アザミ)
アキラとケイト 2013/8/13


 アキラには理解できなかった。こんな田舎にこれほど勝負ごとに長けた女性がいるなんて。
(いや、だから世の中おもしろいと言うものだ)
「もう一勝負お願いします。今度はポーカーで」
「ええ、いいわよ」
 再度の戦いを挑んだのは、負けられない男の意地だ。カードゲームならばという自信もあった。ところが最終的に、袖に隠していたカードを使い果たしアキラは力なく頭を垂れることになる。
「ま、まいりました……」
 目の前で楽しげに笑うこの線の細い女性が、アキラにはとてつもなく高い壁のように見えた。
「まだまだ甘いわね、アキラくん」

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   ケイトさんって、花札でもチェスでもカードゲームでもなんでもござれな気がしてます。



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移 り ゆ く 日 々 (吾亦紅)
アキラ&ジョージ 2013/8/23


 橋を渡り終え、アキラは島を振り返った。
 小さな島とそこに住む人々へ向け、最後に一度だけ手を挙げる。

 サングラスの向こうにその本心を隠した上司が、「戻りたいか」と問うた。アキラは迷うことなく即座に、「まさか」と答える。
 淡く島と海を照らす灯台のすぐ脇で暮らした数ヶ月を、懐かしんだり焦がれたりはしないだろう。あそこはアキラが住むには明るすぎる。それにアキラはまだこれから先もこの背中を追い、その支えにならなくてはいけない。
「夢を見たんですよ、短い夢です」
「そうか。……良かったな」
「ええ、とても良い夢でした」

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   Dark Side DUCK って企画がとてもおもしろそうで、アキラあまり書いたことないし、
   せっかくなのでそんなDUCKとアキラを書いてみようとしたのですが、まとまらなくて。
   抜粋しました(笑)
   暗闇にずっといて、太陽の光がまぶしいモグラはまた土の中に戻るのです…。



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