250字で花言葉



心 を 揺 さ ぶ る (小判草)
丈 2013/9/22


 シャリン…

 耳に馴染んだあの音が聞こえた気がして、丈はとっさに書類から顔を上げてロビーに目を向ける。もしかしてと思ったが、求める姿はどこにもない。
 時計を確認し、それもそうだと息を吐く。時計の針は午後の四時を過ぎたばかり。この時間なら、清音はまだ学校の教室にいる頃だろう。
 珍しく丈の机には午後になって回されてきた「今日中に」の指示付き書類が積まれ、そういえば昼休憩を終えてから煙草の一本すら吸えていなかった。誰かの鞄についたキーホルダーの音を勘違いしてしまうあたり、よほど疲れているらしい。

(……重症だな)


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   清音くんの刀についてる鈴の音がきれいだなと思います。
   仕事中つい清音くんのことを思い出してしまう丈さん…。



* * *



い つ も 機 嫌 が 良 い (孔雀草)
丈&清音 2013/9/25


「禁煙してみませんか」
 起き抜けに手をついて懇願されては、さすがにその願いを無下にはできなかった。


「あー……」
 ニコチンより口元に手を運ぶ仕草が懐かしくてたまらない。
「清音」
「なんです……んぐッ」
 手招きして呼び寄せた清音の顎に手をかけ、思う存分味わってから唇を離す。
「よし」
「じょ、丈さんっ!?」


 そうやって口寂しくなるたびにキスばかりしていたら、寝る前には清音から「すみませんでした」と言い出した。俯いた顔が赤い。
「清音のおかげで禁煙できそう」と笑ってやれば、「やめてください」と蚊の鳴くような声が聞こえた。


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   ナチュラルに一緒に起きて寝てますねこの二人。
   丈さんの禁煙計画は一日で終了しました。

   インサイトの衝撃で、思わず続き「ごまかし」ができました。



* * *



気 が き く (ヒメツルソバ)
丈&清音 2013/10/6


「量が増えてます」
 煙草を吸っている間は近づくなと言ってあるのに、張り巡らせた白い壁を越えて清音はやって来た。
「そうか?」
 そ知らぬふりをしつつ、以前より本数が増えているのは自覚済みだ。ただそれは、意図的に増やしたと言う方が正しい。
「今日はもうダメです」
 行動で示すその手に嫌々ながら煙草を乗せると、清音は満足そうに頷いた。
(人の気も知らないで……)
 そばにいれば抱きしめてキスのひとつでもしたくなる。だからこうして煙草を吸っているのに、手元には半分になった煙草が残るのみ。


 さあ、自制心との戦いが待っている。


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   清音くんのことが大事で、大事なあまり手を出せないでいる丈さんでした。



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平 穏 無 事 (ミセバヤ)
清音 2013/10/14


 深夜から明け方に切り替わる隙間が危険なのだと聞いたのは、もう何年前だろう。教えてくれた丈自身が、かつて人知れず暗がりに目を配っていたことを清音は知っていた。
 その行動を勝手に引き継ぐことで、遠ざかる背中を必死に追っている。


「異常なし、と」
 全身に黒色をまとい、異変がないかを探る。太陽が昇るのを見届けてマンションへ戻るのが習慣のようになっていた。
「おはようございます。……丈さん」
 明るさを取り戻していく街のどこかで、もしかしたら目覚めて同じように朝日を眺めているかもしれない。そうあってくれたらと願った。


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   (昔の)丈さんの背中を追いかけつつ、自分が前に向かえば向かうほど
   (今の)丈さんとの距離が開くこともわかっていて、それでも丈さんが
   いつか情熱を取り戻してれると信じて待っている清音くん……。



* * *



明 日 へ の 期 待 (吾亦紅)
丈 2013/10/19


 カーテンの隙間から光が差し込んでいる。
 冷え込みに体を震わせ、起きあがってみればソファの上だった。酒からくる眠気には勝てず、帰宅するなり沈み込んだのを思い出す。寒さを承知でベランダへ出ると、懐かしい夜明けの景色が広がっていた。

 幼い清音を起こさないよう布団を抜け出した日々はさほど昔のことではないのに、今ではその清音が自分に代わって街を見回っている。
「……おはよう清音」
 今は行く先が見えずに立ち止まるしかできなくても、いずれは再び歩き出すはずだと自分を信じている。ただ、寝不足の目に朝日がまぶしく沁みた。


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   丈さんと清音くんは相棒時代同じ部屋に暮らしていたと信じてます。
   MESSに取り込まれていたことを思い出しては寝られない清音のために、
   丈さんはしばらく一緒に寝てくれたかもしれません。

   誰も知らない、ガッチャマンションではないどこかの部屋で、
   ひとり朝日を眺める丈さん。




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